50代になると、そろそろ定年退職後の生活についても考え始める時期だと思います。
老後の生活資金の大きな2本柱となるのがまず年金、そして「退職金」です。
退職金があるからこそ、同じ会社に長く勤めるためのモチベーションとなるのではないでしょうか。
今日は、そもそも「退職金とは?」「いくらもらえるの?」などの退職金制度の疑問に疑問についてわかりやすく解説していきます。
50代が知っておくべき退職金制度の基本
「退職金」と言っても、退職金の金額の算出方法、受け取り方などは制度によって異なります。
また、退職金制度は日本の雇用社会に広く浸透している制度ですが、法律等によって義務付けられている制度ではありません。
退職金制度の基本について、下記で解説していきます。
会社によって退職金制度は異なる
退職金制度は、現在大きく分けて4種類あります。
・退職一時金
退職金の支払いは企業が行い、金額は企業が決める。
・退職金共済
退職金の支払いは共済が行い、金額は共済が決める。
・確定拠出企業年金
企業が外部に委託し掛金を管理・運用する。
運用成績に関わらず、一定の金額を受け取ることが可能。
・確定給付企業年金
企業および従業員が外部に委託し掛金を管理・運用する。
運用実績によって受取金額が変動する。
以上の4種類です。
さらに、受け取り方法は2種類に分かれます。
①退職金の全額を一括で受け取る「退職一時金」
②60歳以降に分割で受け取る「企業年金」
受け取る方法も違ってきます。
①の退職一時金・退職金共済は一括受け取り。
②の確定拠出企業年金・確定給付企業年金は「企業年金」で受け取る。
退職一時金と企業年金どちらも受け取ることができる企業もあれば、どちらか一方のみとなっている企業もあります。
退職金は誰でももらえるとは限らない
先ほども述べましたが、退職金制度は法律で定められているわけではないので、支給するかしないかについては企業の自由です。
もし、就業規則に退職金の記載があり、本人に非がないにも関わらず支払われなかった場合は違法になりますので、その場合は労働基準監督署へ連絡してください。
また、退職金制度があったとしても、勤続年数が基準を満たしていなかったり、雇用形態が正社員ではない場合は、退職金が支給されないケースもあります。自身の勤務先の就業規則を今一度、確認してみると良いでしょう。
退職金がないというとデメリットばかりのような気もしますが、もちろんメリットもあります。
企業によっては、退職時に受け取る分を毎月の給与や賞与に上乗せし、支払うところもあります。
月の手取りが増えるというのはシンプルに助かりますし、勤続年数で退職金をもらえるかもらえないかを考える必要がないので、自分の好きなタイミングでも転職が可能です。
また、退職金受け取り後の確定申告等の作業も不要になります。
退職金制度のポイント
- 支給は企業の自由
- 就業規則に退職金規定の記載がある
- 特別な理由がない限り支払がない場合は違法となる
- 勤続年数、雇用形態などによっては支払われないこともある
退職金の相場や平均額はいくら?
退職金の金額は様々な要因によって大きく変わってきます。
ここでは、退職金額を決める大きな要因となる3項目「勤続年数別」・「企業規模別」・「退職理由別」の平均額について紹介します。
各項目別の平均相場額
・勤続年数別の平均相場
【勤続20~24年】大卒・大学院卒…1,000万程度 高卒…670万程度
【勤続25~29年】大卒・大学院卒…1,450万程度 高卒…900万程度
【勤続30~34年】大卒・大学院卒…2,000万程度 高卒…1500万程度
【勤続35年以上】大卒・大学院卒…2,500万程度 高卒…2,200万程度
大卒・大学院卒と高卒では金額に大きな差がありますが、勤続年数が35年を超えてくるとその差が小さくなっていることが分かります。
・企業規模別の平均相場(勤続35年以上の場合)
【従業員数100~299人】大卒・大学院卒…1,600万程度 高卒…1,000万程度
【従業員数300~999人】大卒・大学院卒…1,800万程度 高卒…1,360万程度
【従業員数1000人~】大卒・大学院卒…2,660万程度 高卒…2,800万程度
一般的に、企業規模と退職金金額は比例しています。
・退職理由別(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の場合)
【定年】大学・大学院卒…2,300万程度 高卒…2,000万程度
【自己都合】大学・大学院卒…1,540万程度 高卒…1,700万程度
【会社都合】大学・大学院卒…2,100万程度 高卒…1,900万程度
自己都合で退職の場合は大きく金額が下がります。
また、上記以外に、企業が早期退職者を募った場合は早期退職優遇で退職金が上乗せされるケースもあります。
参考:退職給付(一時金・年金)の支給実態:厚生労働省
退職金平均額の推移
では、退職金の平均額はどのように推移しているのでしょうか。
厚生労働省の「就労条件総合調査」では、約5年ごとに退職金の平均額を調査しています。
この調査によると、1997年は2,870万程、2003年の大卒者の平均額は2,500万程度となっていますが、年々減少し直近の2018年には1,800万程度まで減少しているのです。(大卒、管理・事務・技術職、勤続20年以上、定年退職、退職時45歳以上の場合)
退職金が減ってしまった大きな原因としては、バブル崩壊をきっかけに企業の財務上の余力が大きく失ってしまったこと、また、終身雇用制度の崩壊により、勤続年数に応じて金額を手厚くする退職金制度が時代の流れに沿わなくなってきたことも考えられるでしょう。
参考:就労条件総合調査:厚生労働省
50代が知っておくべき退職金の計算方法
最後に、退職金の計算方法についてみてみましょう。
退職金の計算方法は4種類です。
退職金が支給される企業であれば、就業規則に計算方法が記載されているはずですのでおおよその金額の算出が可能です。
・定額制
勤続年数のみに連動して支給金額を決定する方法。
基本給や企業への貢献度は無関係で、基本的に勤続年数が長いほど金額も大きくなります。
・基本給連動型
退職時の基本給や勤続年数、退職理由を加味して算出されます。
計算式は下記の通りです。
退職金=退職時の基本給与×支給率(勤続年数により変動)×退職理由係数
支給率および退職理由係数は企業ごとに異なります。
また、役職によってさらに金額が加算されるケースもあります。
・別テーブル制
基本給連動型と同様に、勤続年数や退職理由を加味して金額を決定します。
基本給連動型と異なるのは、基礎となる金額が退職時の基本給ではなく、役職や職務の等級によって決定される点です。
計算式は下記の通りです。
退職金=基礎金額(役職等により変動)×支給率(勤続年数により変動)×退職理由係数
・ポイント制
企業が従業員に付与したポイントに応じて金額が決定します。
ポイントは、勤続年数や企業に対する貢献度を評価するポイントを加算して算出する場合が多いようです。
計算式は下記の通りです。
退職金=対象金ポイント×ポイント単価×退職理由係数
【50代】退職金の相場まとめ
・退職金制度は全部で4種類!「退職一時金」「退職金共済」「確定拠出企業年金」「確定 給付企業年金」
・すべての企業に退職金制度があるわけではない。退職金制度があったとしても、勤続年数 や雇用形態によっては受け取れない場合のあるので注意!
・退職金の金額は、勤続年数・企業規模・退職理由などによって変動する。
・退職金の計算方法は主に4種類!
- 「定額制」
- 「基本給連動型」
- 「別テーブル制」
- 「ポイント制」
上記で解説した通り、退職金は法律によって定められた制度ではないため、企業によって支給の有無や計算方法や評価方法が変わってきます。
今回の記事で得た情報を参考にし、ご自身の勤務先の就業規則で改めて退職金制度について確認してみましょう。
もし自分で見てもよく分からない場合は、人事部や総務部に確認してみてください。
将来自分が貰える退職金の金額を把握して、老後の資金計画に役立てて頂ければ幸いです。
WORK-LIFE-HAPPY TAKUZOでした。