今や社会問題の一つとされるいひきこもり。
厚生労働省の調査によると、ひきこもりの数は15~39歳で54.1万人、40~64歳で61.3万人と推計され、若い年代よりも中高年と言われる年代の方が数的には多いんです。
それも中高年がひきこりになってしまうその理由は?なぜ解決できないのか。
この記事を最後まで読めば、中高年のひきこもりの理由とその解決策が理解できます。
参考:特集2 長期化するひきこもりの実態|令和元年版子供・若者白書(概要版) - 内閣府 (cao.go.jp)
【中高年のひきこもり】その理由
ひきこもりになってしまうその理由は何なのでしょう?
職場になじめない、転職の失敗、人間関係、病気など理由は様々です。
若年層、中高年とも理由は概ね同じで特に違いはないようですが、”ひきこもり”に対する考え方や置かれる環境に違いがあるようです。
参考:中高年引きこもり、原因・対策・40代は…全て解説します! 2022年最新版 | 認定NPO法人ニュースタート事務局|ニート・引きこもり支援 (newstart-jimu.com)
・人間関係
中高年であれば会社での立場もあり、上司の指示や職場自体の風潮によるもの、「やればできる」や、「それが当たり前」の押し付けなど、自分でコントロールできない状態が精神的なストレスになるようです。
長く我慢した結果、ひきこもることになるケースは中高年のひきこもりが多い理由の一つとなっている様です。
もちろん、イジメなどの直接被害も原因とりますし、立場によっては期待や尊敬も対人ストレスに当たるかもしれません。
また、転属、転職を期に新しいコミュニティーに適応できなかったというのも大きな要因になり得るでしょう。
自分だけ浮いていると感じてしまったり、ストレスを感じる苦手なコミュニティーには行きたくないと感じてしまうのは当り前ですよね。
・生活環境の変化
人は常に生活環境と自分とのバランスを取りながら生活しています。
バランスがとれていればよい状態で維持され、バランスが崩れれば、不安や緊張が高くなってしまいます。
どうにかバランスを取りながら生活していたけど、長期休暇や、転職、退職を期に生活環境の変化に上手くバランスを取れず、ストレスを避けることで解決しようとしてしまう。
これがひきこもりを引き起こす理由の一つと言えるでしょう。
環境が変わると新しいことを覚えないといけない、新しい人間関係を築かないと。
などの不安を抱きつつ、うまくやらないと。
などと抱え込んでしまうのは大きなストレスです。
一度働き始めた上での問題は、なかなか解決できず、ひきこもる期間が長くなってしまうという傾向もあるようです。
卒業や就職、転職のしやすさなど、悪い環境をリセットしやすいとの違いがありますね。
・病気の可能性
ひきこもりは「生活における状態」であって病気ではありません。
が、その状態に至る原因が病気である可能性は否定できません。
たとえば、日本では、15人に1人が経験するうつ病はひきこもりの原因となりうる病気の1つです。やる気が出ないのはうつ病の大きな特徴の一つですが、無気力状態が続くとひきこもりにもなりやすくなります。
うつ病とまではいかなくても、適応障害は環境の変化などのストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの不調を感じる病気です。
改善のきっかけとして、治療の意識を持ってみてもいいかもしれません
【中高年のひきこもり】その解決策5つ
ひきこもりのきっかけは、人間関係、環境の変化、もしかしたら病気の可能性も。
というお話でしたが、どの項目も社会生活の中で誰にでも起こりうる問題です。
どのように対策をしていけばいいのでしょうか?
では、中高年のひきこもりの解決策をみていきましょう。
・自己肯定
ひきこもりに悩んでいる人は罪悪感を抱え込んでいます。多くの人が外に出たい、社会との関係を取り戻したいと考えています。
しかし、周りの視線や、言葉を冷たく感じて、自分が悪い、自分はダメだと自分のイメージを下げてしまいます。
まずは、イメージの改善に努めましょう。
料理を作ってみる。買い物に行ってみる。部屋を掃除してみる。家族に何かしてあげる。なんでもいいです。
自分にも、他人にも何か役に立つことをしてみましょう。自己満足でいいんです。
もしご家族の方なら、頼ってあげてください。
どんな小さなことでも、自分はこれができる。誰かの役に立った。
この気持ちが自己肯定のきっかけになりますよ。
・平常運航
当事者、支援者も含め急に何かを変える必要はないのではありません。
もちろん、状況を改善したいと思う気持ちはおありでしょうが、焦りは禁物です、日々の中で考えたい時に考え、やりたい時にやる。
どうにかしたいという思いがあるのなら、なおさら焦らない事です。
朝起きて、食事をして、本を読んでも、PCを触っていてもいいです。いつも通りの生活を送りましょう。
ただ、その中に、自己肯定の考え方や、次にあげるメリット探求する時間をほんの少し組み込んでみましょう。
晩御飯は自分の仕事、とか。
まずやれることを日常で繰り返していきましょう。
無理やり社会との関わりを戻しても、同じことを繰り返してしまうでしょう。
・メリット探求
ひきこもりを脱却することのメリットを考えてみましょう。
全てを解決する必要はないんです。
「家族に迷惑かけたくない。」「働かないといけない。」は後回しでいいです。
買物は自分で行った方が好きな物が買えるな。とか、今日は天気が良いから散歩は気持ちいいかな。
仕事した方が好きな物が買えるな。とか、そんな感じでOKです。少しでも外に意識が向くようになれば大きな進歩です。
「こうできたらいいかも」が「こうしたいな~」「こうしてみようかな」「こうしよう」に変わっていくように簡単なことをポジティブに考えていきましょう。
いずれ、社会に出るメリットが社会に出るデメリットを打ち負かす時が来るかもしれません。
やりたいこと、希望を積んでいきましょう。
・近所探索
少しでも外に出てみましょう。
もし、部屋からも出られないような方は、最初は窓から顔を出して外の空気を吸うだけでも十分です。
部屋から一歩、玄関から一歩、いずれは近所を散歩。
ゆっくり行きましょう。
週に一度、決まった週刊誌を買いにコンビニまで行く。
そんなルールを決めてみるのもいいかもしれませんね。
ご近所さんの目が気になるかもしれませんが、他人は他人です。
自分のことだけを考えましょう。
あなたの努力はあなたにしかわからないのですから、
自信をもって一歩一歩ですよ。
・第三者の介入
もし、どうしたらいいか解らないなら、相談しましょう。「どうしたらいいか解らない」は
どうにかしたいという気持ちの表れです。
ひきこもりを一人で解決するのは困難です。
家族でもいいです、友達でもいいです。会社の上司でもいいです。
もし、心ない言葉が返ってくることがあっても、気にしないでください。
ひきこもりはあなただけでなく多くの人が体験している社会で考えるべき問題です。
誰もが味方になってくれるわけではありません。
家族ですら理解してくれないこともあります。
高齢の親には頼れないという場合もあるでしょう。
それでも、味方になってくれる人は必ずいます。大丈夫です。
【もし、頼れる人がいないなら、こちらで最寄りの相談窓口にアクセスしてみてはいかがでしょうか?参考:(全国の相談窓口はこちら|ひきこもりVOICE STATION (mhlw.go.jp))
【中高年のひきこもり】理由と解決方法まとめ。
〇中高年のひきこもりの理由
・変更の効かない環境での人間関係。
・今まで張りつめていたものが、環境の変化でバランスを崩してしまう。
・病気の可能性も考えてみましょう
〇中高年のひきこもりの解決策
・自分にも他の誰かにも役に立つ自分を見つけましょう。 - 自己肯定
・焦って改善を求めない。少しずつやっていきましょう。 - 平常運航
・こもっていては得られない事、みつけましょう。 - メリット探索
・人の目なんて気にしない。あなたの一歩の重みは誰も知りません。 - 近所探索
・一人じゃないですよ。頼りましょう。 - 第三者の介入
中高年代のひきこもりは誰にでも起こりうる問題です。
今回は触れませんでしたが「8050問題」という言葉も中高年のひきこもりに関わる問題としては大きなキーワードでしょう。
最近では「孤独を楽しむ」、「おひとり様」なんて言葉もよく耳にします。
問題がある中でも日本社会が孤独を肯定的にとらえ始めているということなのでしょう。
あなた自身が孤独を肯定的に考え、ひきこもらずとも、孤独を楽しむ生き方はできる。
そのような形で社会との関係を取り戻すことが出来ればと考えます。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。