転職し、キャリアアップや年収アップを叶えたタイミングで住宅の購入を考える方もいらっしゃることと思います。
しかし、転職後、すぐに住宅ローンの申し込みができるのかどうか、心配ですよね。
結論からお伝えすると、転職後すぐの住宅ローンの申し込みは可能です!
今回は、転職後に住宅ローンを組む際のポイントや注意点、審査に落ちてしまった場合の対処法について解説していきます。
●住宅ローンの基礎知識
多くの方にとって、住宅の購入というのは人生に1度の大きな買い物となるででしょう。
融資の金額も大きく、融資期間も長期にわたるため、金融機関としても他のローンよりも慎重な審査が必要となります。
まずは、住宅ローンを申し込む上でどのような項目が審査対象となるのか、金融機関がどこを重視して審査しているのかを見ていきましょう。
住宅ローンの審査項目は?
細かい審査項目や審査基準は金融機関によって多少変わってきますが、多くの金融機関が審査で特に重要視するのは以下の項目です。
・住宅ローンの借入時および完済時の年齢
住宅ローンの借入は20歳以上75歳(70歳)まで、完済は80~85歳まで。借入期間は、最大35年もしくは40年としている金融機関が多いようです。
50代から住宅ローンを組む場合、返済期間が短くなることがあるので注意が必要です。
・契約者の勤務形態および勤続年数
正社員と非正規雇用であれば、正社員の方が審査上は有利なケースが多いです。(非正規雇用でローンが組めないというわけではありません。)
また、勤続年数についても、同じ職場で長期勤務し、安定していることが望ましいとされています。
・返済負担率
年収に占める年間のローン返済額の割合のこと。一般的には返済負担率が25~35%程度に収まるように融資金額を決めることが多いです。
・年収
契約者の年収がいくらかによって、融資金額が変わってきます。
転職直後の場合は、見込み年収を算出し、審査することになります。
・契約者の健康状態
住宅ローンの返済期間中、契約者が健康に働き、支払いを維持することができるかどうかが非常に重要です。
万が一に備え、原則として「※団体信用生命保険」への加入が必要となります。
(※団体信用生命保険についてはこちらを参照してください…全国信用保証協会連合会)
・担保評価
住宅ローンは、基本的に購入した住宅を担保とした融資です。もしも返済不能になった場合、担保となる物件を売却し、返済に充てることになります。そのため、購入物件が融資金額に対して十分な担保価値を有しているかどうかが重要なポイントとなります。
転職した場合、最も懸念事項となるのが勤続年数と年収の部分になるでしょう。
では、転職が住宅ローンの審査において与える影響を次の項目で解説します。
転職が住宅ローンの審査に与える影響は?
前述したように、住宅ローンの審査においては勤続年数と年収が重要視されます。
転職すれば、当然、勤続年数はリセットされ、年収も変わってしまいます。
そこで、転職そのものが審査にどのような影響を与える可能性があるのかを下記で解説します。
・勤続年数が短い場合、審査基準が厳しくなる可能性がある
勤続年数が短いと、長い人に比べて仕事がまだ安定してないという判断になり、審査基準が厳しくなる可能性があります。自身で起業した場合も同様です。
転職前と同業種でキャリアアップ(年収が上がったり、より安定した大企業への転職)の場合は、転職がプラスに働くこともあります。
逆に、全くの異業種の場合は前提となるキャリアがないため、注意が必要です。
・年収は見込み額で審査される
転職してすぐの場合、源泉徴収票などで年収の確認がとれないため、直近の給与明細から算出した見込み年収で審査することになります。
大体、給与明細2,3カ月分を提出し、月額給与平均額×12で計算した金額が見込み年収とされます。
見込み年収は、支給実績があるもので計算される場合が多く、ボーナスなどが支給されていない段階では、実際の年収よりも低い金額で審査されるケースもあります。
●転職後、すぐに住宅ローンを組むには?
転職が住宅ローンの審査に与える影響は少なくありませんが、きちんとプラスの情報を伝えれば融資を受けることは可能です。
転職後、組むためにはどのように申し込みすれば良いのか、どのような点に注意して申し込みをした方が良いのかを解説します。
転職後の住宅ローン、いつから申し込みができる?
転職してどのぐらい経てば申し込みが可能なのか。なるべく早めに申し込みをしたいところではありますが、できれば、最低でも3カ月程度は経ってからにした方が良いでしょう。
先ほど解説したように、見込み年収を算出する際に転職先の給与明細を提出する必要があります。その場合、少なくとも2,3カ月分の提出をお願いされる場合が多いためです。
半年以上経っていて、一度でも賞与の支給があれば大きなプラス材料となります。
入社時に、大体の年収が雇用契約書等の書面で確認できるようであれば、それを提出するのも良いでしょう。
通常よりも用意する書類は多くなりますが、金融機関としても、もらえる情報は多い方がプラスの判断がつけやすくなります。
転職後の住宅ローン、注意すべきポイントは?
・転職の回数が多いと、審査でマイナス評価となるケースがある
融資の条件として、「安定し継続した収入があること」というものがあります。
この条件を踏まえると、転職回数が多く、各勤務先での勤続年数が短い場合は、収入が不安定であると考えられ、審査上マイナス評価となる可能性があります。
・住宅ローンの申し込みに必要な提出書類が増える
前述したように、転職後間もない住宅ローン申し込みの場合は、見込み年収での審査となります。
見込み年収を算出するために、給与明細や、支給がある場合はボーナスやインセンティブの明細、見込み年収の証明書等の提出が必要になります。
また、転職先の内定が確実であることを証明するため、雇用契約証明書等の提出が必要となるケースもあります。
●転職後の住宅ローン、審査に落ちてしまった場合の対処法は?
・自己資金を増やす
自己資金が豊富であれば、融資のプラス材料となる可能性があります。
その場合、貯蓄が確認できる通帳のコピーなどの提出を求められる場合もあります。
・他の金融機関を検討する
住宅ローンの申し込みというと、給与振り込み等を指定しているメインバンクか、不動産業者の提携先金融機関のみで手続きしようとしてしまいがちです。
しかし、必ずしもメインバンクや提携金融機関でなくても良いのです。
審査項目に大きな違いはありませんが、審査基準が金融機関によって異なります。
転職による勤続年数の短さがネックになっているようであれば、勤続年数を重要視していない金融機関を検討してみましょう。
例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」です。
フラット35は、勤続年数が申し込み要件となっていないため、転職直後でも申し込みが可能です。
●まとめ
・転職後、すぐでも住宅ローンの申し込みは可能!
・審査で重要視される項目に「勤続年数」と「年収」が含まれるため、転職後すぐの申し込みは審査が難しくなる場合がある。
・年収がアップする、より安定した企業へのキャリアアップの場合は逆にプラスに働く場合
もある。
・通常の申し込みに比べて、提出書類が多くなるので注意!
・審査に落ちてしまったら、他金融機関の検討をしてみる。
ここまで解説した通り、転職直後でも住宅ローンの申し込みは可能です。
実際、転職してすぐにローンの申し込みをして、審査に通った方も多くいらっしゃいます。
ですが、前述の通り、注意すべき点があることも覚えておきましょう。
心配な時は、事前にFPや金融機関に相談してみてください。